黄色ブドウ球菌由来のタンパク質毒素であるブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)および細胞外膜小胞(MVs)は,食中毒やアトピー性皮膚炎の発症や難治化に関与しており,その毒性発現の制御法が求められている。カテキン(catechin)は,主に緑茶に含まれるポリフェノールの一種で,タンパク質や細胞膜と相互作用することが知られている。本研究では,黄色ブドウ球菌の病原因子であるSEAおよびMVsに対するカテキンの影響について検討した。その結果,ガロイル基を有するエピガロカテキンガレートは,SEAと相互作用およびMVsの内包成分を変化させることにより,毒性を抑制することを明らかにした。緑茶の飲用やカテキンの化粧品等への応用により,本菌のSEAおよびMVsに起因する毒素型食中毒やアトピー性皮膚炎などの疾病防止につながることが期待される。