Vol.53,No.11 (2025)
- 表題:
- ビール混濁能を持つ細菌とビール混濁能遺伝子
- 著者:
- 林 伸之,木ノ内智之(キリンホールディングス(株) 品質保証部食品安全品質保証センター)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.11,pp.359−371(2025)
ビールは,一般に微生物による変敗を受けにくい飲料として認識されており,ビール中で増殖できる微生物は限られている。しかし,一部の微生物は,ビール中で増殖することが知られており,乳酸菌,Pectinatus属等のグラム陰性偏性嫌気性菌,野生酵母がビールを混濁させる微生物として研究されてきた。本総説では,ビール混濁能を持つ細菌(主に乳酸菌)に着目し,ビールの微生物学的安定性に寄与するホップ苦味物質,亜硫酸及びビール混濁菌に特異的なビール混濁能遺伝子の機能について最新の知見を含めて解説する。
- Key words:
- Beer-spoilage bacteria(ビール混濁菌)/Genes involved in beer-spoilage(ビール混濁能遺伝子)/Hop bitter compounds(ホップ苦味物質)/SO2(亜硫酸)/gtb operon(glycosyltransferase family gene of beer-spoilage lactic acid bacteriaオペロン).