Vol.53,No.11 (2025)
- 表題:
- 265,285,300nm放射UV-LEDを用いたバクテリオファージQβ不活化効果と相加的・相乗的効果の検討(原著論文)
- 著者:
- 橋口亜由未(岡山大学 環境生命自然科学研究科,島根大学 自然科学研究科),田邊慎人(島根大学 生物資源科学研究科,(株)西原ネオ ECP推進部 設計グループ),佐藤利夫(島根大学 生物資源科学研究科,島根大学名誉教授 生物資源科学部)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.11,pp.351−358(2025)
本研究では,265,285,300 nmの紫外線を単波長で放射するUV-LEDと中圧水銀ランプ(MP)および高出力低圧水銀ランプ(LP, 254 nm)を用いてバクテリオファージQβの不活化実験を行い,不活化効果を検討した。さらに,265,285,300 nmの3波長のうち2波長ずつ組み合わせと順番を変えて回分式複合照射を行い,有効波長の複合照射がバクテリオファージQβ不活化において,相乗的または相加的に作用するのかを推定した。その結果,ウイルス生残率(%)はそれぞれの波長において照射エネルギー量が増えるに従い対数直線的に低下し,照射する順番を変えてもその傾きは変わらず,2波長のトータルの照射エネルギー量が同一であると同等の不活化効果が得られた。これらの結果から,MPのように多波長をブロードに放射する水銀ランプでは各波長の相加的効果によってウイルス不活化効果が起こると考えられる。
- Key words:
- Medium-Pressure Mercury Lamp(中圧水銀ランプ)/Bacteriophage Qβ(バクテリオファージQβ)/Inactivation Effect(不活化効果)/UV-LED(UV-LED)/Additive/Synergetic Effect(相加的/相乗的効果).