日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.53,No.7 (2025)

表題:
災害時における微生物汚染対策の重要性と今後の課題
[6]災害における食品分野のリスクと制御
著者:
長田 隆(南九州大学 健康栄養学部 食品開発科学科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.7,pp.205−209(2025)

今後,想定される南海トラフ大地震のような大規模災害では,被災者は長期間にわたる避難所生活を強いられる。避難所生活では,食に関わるさまざまな問題が発生する。その中でも,食品衛生は非常に重要で,衛生状態が悪化すると食中毒などの体調不良を起し,大規模な二次災害になり兼ねない。そこで,避難所での衛生状態が悪化すると,食中毒のリスクが高まることに注目し,調理の仕方,手洗い方法や食材の取り扱いについて教育を行い,食中毒を防ぐための衛生管理を徹底するなど,これまでの災害時の取り組みを基に解説した。また,食中毒事故の報告事例があまりに少ない理由に触れ,食中毒防止対策には,過去の情報収集機能を強化し,広く公開することが必要であることを述べた。最後に,災害関連死の低減策として,高齢者を含む「要配慮者」への食のリスクについても提言した。

Key words:
Food poisoning(食中毒)/Evacuation camp(避難所)/Natural disaster(自然災害)/Disaster food(災害食).