日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.53,No.4 (2025)

表題:
加工食品の製造流通におけるカビ対策
著者:
枳穀 豊((株)日本総合科学)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.4,pp.109−115(2025)

カビと人間との関りは有史以前から存在し,好ましい面では発酵食品への利用があり,好ましくない面では,カビ毒による健康被害,腐敗による栄養損失に加え,市場での商品価値の損失があげられる。食品製造および流通中のカビ汚染対策には,カビの混入ルートをよく分析する必要がある。原料や資材への付着,作業者の持ち込み,空中浮遊菌などに加えて,殺菌工程や密封不良が考えられる。それぞれに防止対策を施すと共に検査やモニタリングをすることが重要である。食品工場でのカビ汚染防止は「食中毒防止三原則」と同じで,「つけない」,「増やさない」,「やっつける」の実践である。無論,設備装置の抗菌化やサニテーションにより工程内増殖を防ぐ必要がある。カビの増殖は温度,水分活性,pH,酸素,食品成分などで制御できる可能性がある。ただし,カビには厳しい環境にも順応できる種類がおり,ひとつの因子で完全に抑制することは難しい。それぞれの因子を組み合わせて制御するハードルテクノロジーの活用が優れた対処方法だと考えられる。

Key words:
Fungal spoilage(カビによる変敗)/Processed foods(加工食品)/Microbial contamination(微生物汚染).