Vol.53,No.4 (2025)
- 表題:
- 医療介護用ユニフォームに対する蛋白質存在下における微酸性電解水の殺菌効果に関する検討
- 著者:
- 上田柊太(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科),眞野容子,古谷信彦(文京学院大学大学院 保健医療科学研究科,文京学院大学 保健医療技術学部 臨床検査学科),藤田和恵(日本医科大学付属病院 医療安全管理部感染制御室・呼吸器内科),鷲尾洋平(日本医科大学付属病院 臨床検査部),中村翔太郎(日本医科大学付属病院 医療安全管理部感染制御室)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.53,No.4,pp.103−107(2025)
薬剤耐性菌は白衣に定着しやすく,感染のリスクが高いため,医療従事者の白衣の消毒は重要な感染対策である。微酸性電解水(SAEW)は,厚生労働省より食品添加物・殺菌剤として指定されており,安全性が確認されている。本研究では,耐性菌の蔓延を防止するために,医療用ユニフォームの適切な洗濯・消毒方法を検討することを目的とした。さらに,医療関連感染の原因となる病原体に対するSAEWの殺菌・洗浄効果を検討し,蛋白質の存在下での殺菌効果を評価した。市販洗剤と水道水で洗浄した後には細菌の残留が認められたが,SAEWと次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は,蛋白質の存在に関わらず殺菌効果を示した。NaClO単独と比較し,SAEWはより低い塩素濃度で効果を発揮し,環境への負荷を軽減する。このことから,SAEWは医療関連感染の原因となる病原体を除去・消毒するための効果的な方法であることが示唆された。
- Key words:
- Medical Care Uniforms(医療介護用ユニフォーム)/Slight acidic electrolyzed water(微酸性電解水)/Sodium hypochlorite(次亜塩素酸ナトリウム)/Drug-resistant bacteria(薬剤耐性菌)/Disinfection(消毒).