プロバイオティクス(probiotics)およびプレバイオティクス(prebiotics)は,有害な病原性細菌を抑制する抗生物質(antibiotics)に対して提案された用語であり,前者は「適正な量を摂取したときに宿主に有用な作用を示す生菌」,後者は「大腸の有用菌の増殖を選択的に促進し,宿主の健康を増進する難消化性食品」と定義された。プレバイオティクスの定義については,2017年に「A substrate that is selectively utilized by host microorganisms, conferring a health benefit」と提唱され,宿主の大腸内に共生している微生物に限るものではなく口腔内細菌も対象となると解釈される。プロバイオティクスの例としては,ヒトの腸に存在するビフィズス菌や乳酸菌などがあり,宿主に有用な作用として下痢や便秘の抑制作用がよく知られている。プレバイオティクスの例としてはオリゴ糖や食物繊維などがよく知られており,整腸やミネラル吸収促進などの有益な作用が報告されている。本稿では特に歯科領域におけるこれらバイオティクスの応用の可能性について論じる。