粉体の殺菌については,安全性が担保され,品質低下を抑制できる技術が広く求められている。加熱殺菌は安全性が高い一方,粉体の品質低下や装置への付着といった課題があり,非加熱殺菌の代表であるγ線殺菌は安全性に対する懸念を払拭できていない。この現状のもと,当社は粉体殺菌装置SonicSteraを開発した。本装置は,粉体を加圧条件下で水蒸気と接触させ粉体粒子表面の加熱を行った後,瞬間的に大気圧下に開放することで,粉体表面の細菌を殺菌する装置である。水分の気化,膨張という物理的な力により細菌の細胞破壊が起こり,殺菌効果を示していると推定される。実際に同じ加熱温度,加熱時間でSonicSteraと一般的な加熱処理の比較を行い,SonicSteraが高い殺菌能力を示すことが確認されている。殺菌に使用するのが水蒸気とエアーであり安全性が高く,加熱時間が非常に短く加熱殺菌と比べて粉体の品質低下を抑制することができる。粉体殺菌における新しい選択肢として本技術の詳細を紹介する。